The Fool−修正版−
彼の心を色どるは何の花

まどろみ見るは睡蓮




「あら、なぁにー?」


私は旅の途中であろう三人組に見付かった。


存在を消していたのに。


「何故存在を消していた?」


黒尽くめの男が問う。


「別にぃただ人と合うのが嫌いなだけよぅ」


「………ここらで強者がいると聞いたのだが」


こいつも……か


呆れる。そんなに巨額な賞金じゃないのに。


「貴方も賞金稼ぎぃ?」


単刀直入に言う。


その手の奴はもううんざり。


腰に掛けた刀に手を触れる。


「いや、賞金稼ぎではない。お前は賞金がある程強いのか?」


「え、あ……強いわよぅ!」


調子が狂った。


じゃあ、なんで声をかけたの?


黒尽くめの男は少し困った様子で話す。


「いや、なに、少し金が欲しくてな」


やっぱり賞金目当てじゃない。
私はまた刀に手をかける。


「近場で大会があるって言うから来たものの、四人のチーム戦らしくて……ほら我等は三人だからな」


「なぁにぃ?じゃあ私に出ろというのぅ?」


かなり拍子抜けだ。


私が異端だというのは最初から判っているようだ。


なのに畏れない。


「無理にとは言わないが、な」


煙たがらない。


「……ふふ…」


面白いわね……


「そういえばぁ……チーム戦よねぇ?私とではぁタイミングがぁ計れないんじゃなくてぇ?」


「付け焼き刃でも簡単そうなのだ」


「ふぅん……貴方達、強いんだぁ………でもぉ」


「不服か?」


「不服よぉ。これでも完璧主義なのよぉ?だぁかぁらぁ」


武器を手にし、距離を置く。


「手合わせ願う……ということか」


黒尽くめも武器を手に、構える。


「喧嘩するほど仲がいいって言うでしょぉ?」


「完璧に違うな」


「うっふふのふー♪」


そして、互いに得物を交える――――
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