The Fool−修正版−
「…マハがいないと温められないのか…つらいねー」
冷えたみそ汁に鶏の卵焼きを食べながらバラは独り言をぶつくさ言う。
「しかし、変な夢みたなぁ………」
「あぁ………暇だぁ……」
彼等が此処に住んでから二ヶ月になる。
まだ能力が出ていないバラはいつも居残り。
毎日毎日、銃の手入れも飽きて来て、今では何も考えずに空を見ている。
そもそも銃ですら扱いきれていないからあまり触れないのだが。
「エレボスが羨ましい…何故体育座りでスナイプショット出来るんだ?………うーん………謎だ」
「何考え込んでんだ?」
不意に目の前にマルスが出現する。
「マルさん。怪我大丈夫でしたか?」
両腕がボロボロで完璧に使い物ならない感じだったが、今、マルスは手をブラブラさせて大丈夫に見せる。
「全く両腕取っ替えはきついぜ。一ヶ月はカラドホルグで食事してたんだ」
「取っ替えって……」
「ん?あ、うちにはすんごい医者と技師がいるんでな。簡単に人の腕なんて作れんのよ。みたろ?ヂーク。あれロボットだけど何やらかにやら人間そのものだぜ?変形すること以外はよ」
「ということは今腕は」
「そ、ナノマシンによる人間の腕。質感やら神経やら全て人間のそれとおんなじさぁ」
「へぇ…そうなんですか」
どうやら今日は退屈せずに済みそうだとバラは胸を撫で下ろした。