The Fool−修正版−
「へ?お前が行くの?バラ」


『うん。なんかご指名された』


ここはアンラ城・稽古場。


バルトとマハとフィードは最近ほとんどここで傭兵達と練習していた。


ほとんどは談笑のようだが。


マハはここでは中々人気らしい。


傭兵はほとんど男だから無理も無い。


「事務所どうすんだよ?」


『マルスさんとラーナさんが来ているから大丈夫』


「それ、結構危険だぞ?前の騒動あるし」


また、爆破未遂が起きそうで、バルトは冷汗をかく。


「誰か一人付いて行くか?」


『あ、それなら大丈夫。マルスさんが護衛に暇な人付けるって』


「かなり個性派ではないことを祈るな」


特にガリとか、と思うがよくよく考えれば『王国』の人達は個性派揃いだという事を気付いていないバルトである。


『確かに』


バラも忘れているようである。


「内容はそれだけか?」


『うん。あ!迎えが来たから切るね。六日はいないから!』


「お、おい!!六日って遠過ぎやしないか?!」


バラの返答も虚しく携帯からツーツーと音がする。


「バルト。何してんだよ。飯食いに行こうぜ」


「そうそう飯飯。腹減っちまった。今日こそはマハさんの隣に…」


傭兵でバルトと気が合う二人が話しかけてきた。


一人はビル、もう一人はジャックという名だ。


「ジャック。あんな粗末な女なんか好かないほうが良いぜ」


「ビル。そんなこと言うなよ!しおらしくなった時のギャップとか見たくないのか!最近俺のとこ見てるし、俺に気が合うんだぜ!きっと」


「違うぞジャック!!あれは俺のほう向いているだ」


「お前も好きなんかい!!……ほら、飯食いに行くぞ」


軽くツッコミを入れた後、二人より先に食堂に行こうとするバルト。


「良いよなぁ…バルトは同じアパートの部屋で」


「はいはい、行くぞ」


あんな男女のどこがいいんだか、呆れ返るバルトであった。
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