私の彼は、“キス恐怖症”。《SS更新中
ーーーーーーPM11:22
「……近い。」
『そ?』
お兄さんと冬子さんは、ふすまを
隔てた隣の部屋ですやすや眠っていて。
私と隼は、約束通り同じ布団で一緒に寝てるんだけども……。
どう考えても2人の距離感が
おかしいのだ。
(…本当、近すぎ。)
私の背中に隼が抱きついてきて、
長い脚を絡めてくるし、
その大きな手は私の胸元にある。
…心臓に悪い。
『着物ってどこからでも入るね。』
「…何が」
『手が。』
「……ゃっ」
隼の手が、太ももを撫でる感覚に小さく悲鳴をあげる。
『ごめん、手がすべった。』
……いや、どんな手の滑り方?
後ろで楽しそうに笑う隼に、軽く殺意を覚えながら早く眠ってしまおうと瞼を閉じる、が。
「本当、無理だっ、て、」
うなじに落とされたキスによって、
瞼は簡単に開けられてしまった。