私の彼は、“キス恐怖症”。《SS更新中




「…ちょっとだけ、こうさせて。」


なんだか隼に抱きつきたくなった私は、
自然な動作でその胸にぽふ、と顔をくっつける。


『可愛いことしてくれるね。』


クスクス、と上から降ってくる笑い声が心地よくてーーー。


『……あれ、夏織?』


俺の胸に、顔をうずめるなんて可愛い事をしたかと思ったら次の瞬間には、
すぅすぅと寝息をたてている始末だ。


『(安心してくれてるって事かな。)』


そうだったなら嬉しい。

うん、嬉しいけどさ。


『はぁー、ほんと生殺し……。』


「……ん。」


その声と同時に、少しだけ位置を変えた夏織。

さっきまで隠されていた顔が少しだけ見えて。


『ーーこんな安心しきった可愛い寝顔
みせられたら動けないよなー。』


俺が、
彼女にとって、
安心できる場所であれば良い
と願う冬の夜。





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