私の彼は、“キス恐怖症”。《SS更新中


「水買ってくるから待ってろ、な?」


ガチャリ、とドアの閉まる音が
聞こえて。

自分の髪を、くしゃりと掴んで
なんとか平静を保とうと
強く強く力を加えて掴む。


もしも、兄貴がこの週刊誌の発売を
阻止できなかったら?

ーー夏織は、どうなる?


『……っくそ』


抑えようのない苛立ちに、
壁を殴って子供のように物に当たる。

白い壁に、赤が滲んでいく。



< 138 / 224 >

この作品をシェア

pagetop