私の彼は、“キス恐怖症”。《SS更新中


ーーガチャリ


「お前、手……!」


『……大丈夫だから。』


そう言って弱々しく笑って見せた
“弟”の手から流れた赤い血が、
床の上に、ぽたぽたと落ちていく。


「…ガキじゃねぇんだから、物に
当たる時の力の加減ぐらいしろ馬鹿。」


持っていたハンカチで
傷口を抑えてやれば、また弱々しく
“あの顔”で笑う。


「俺の前くらい、無理に笑うな。」


『……っ』


「弟なら弟らしく、たまには俺に
弱いとこみせていいから。」


『……ご、めん。』








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