私の彼は、“キス恐怖症”。《SS更新中


「だい、じょうぶです。」


「ね、夏織ちゃん。」


そ、と私の手の上に
冬子さんの綺麗な手が重なって。


「無理しちゃ駄目よ。手も冷たいし
顔色も悪い、倒れたらどうするの。」


「……あ。」


「ご飯食べてるの?」


「えっと、……」


口ごもった私に、食べていないことを
悟ったらしい冬子さんは短くため息を吐いた。


「なに食べたい?」


「え……?」


「料理は得意だから、何でも言ってよ」


あぁ、もう。
弱っているときに人の優しさに触れてしまったら、簡単に涙腺は決壊してしまう。
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