私の彼は、“キス恐怖症”。《SS更新中
嘘つき。
ーーー6年前。
「美人だからって
調子のってるよねー。」
通りすがりに、そう言われて
わたしはその女の子の顔を
ちらり、と見る。
(あなただって美人じゃない。)
私は、高校3年間ずっと1人だった。
たぶん入学前の噂が原因で。
“男好き”
“誰とでもすぐに寝る”
入学してからも、色んな男に
身体目的で迫られて
襲われかけたことだってあった。
『花房さん、』
「先生っ…。」
高校の渡り廊下で、
わたしは愛しいその人の名前を呼ぶ。
『今日の放課後、準備室においで。』
私の耳元で、私にしか聞こえない声で
そんな甘い声を囁く。
「うん。」
幸せだった、間違いなく。
ーーこの頃は。