私の彼は、“キス恐怖症”。《SS更新中

私の初めては、

全部先生に教えてもらった。


「…………っ。」


だから、その光景を見たときは
息をするのも忘れて
涙も出てこなくて
心臓はどくん、と脈をうった。


卒業式の1日前。

準備室の少し開いた扉から
見えたのは、


「先生、愛してるわ。」

『俺も愛してるよ。卒業したら
結婚しような。』


絡み合う二つの身体と
信じたくないセリフ。


わたしが廊下で
すれ違った美人のあの子だった。

私の3年間を返してよ。

私の初めてを返してよ。


「……や、だ。やだぁああ」


誰もいない放課後の教室で
感じた胸をぐちゃぐちゃに裂かれるような想いは、今でも私を苦しめる。


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