私の彼は、“キス恐怖症”。《SS更新中


『でしょー。』


あ、嬉しそう。


「あ、俺ここの事務所で働いてる
真北 翔平って言います!」


『えっと、花房 夏織です。』


「“夏織さん”、いつから瀬野さんと
付き合ってるんですかっ?」


真北さんは、私の隣に座ると瞳をキラキラ輝かせながらそう聞いてきた。


『1年半前、ぐらいですかね。』


「長いっすね!」


『そう、ですね。』


なんなんだこの人。
人との距離感が近すぎる。


『殴られるか、蹴られるか
どっちがいい?』


その尖った声に視線をあげれば、不気味な笑みを浮かべる隼が。


「じゃあ、蹴られるほうで!」


いや、何でチョイスしてるの?
馬鹿じゃないの?


『……早く、企画出して
さっさとこの部屋から出ていって
ください。』


隼が、疲れているなんて珍しい……。
真北さん、恐るべし!


「あ、そうだった!企画書だっ」


仕事の話をする2人を盗み見ながら綺麗なモデルさんがたくさん載っている雑誌をパラパラとめくっていく、と。


(へぇ、今の雑誌って下着とかも
紹介するんだ。)


可愛い下着が盛り沢山のページが。


そのページを読んでる最中に、いきなり隣に誰かが座ってきたので肩をびくりと震わす。


『やらしー。』


にやにや、と笑う隼が隣にいてこの場所から消えてしまいたい、と
本気で思った。


「……真北さんはっ?」


焦るな、話を変えるんだ私。


『さっき帰ったけど、
気づかなかったの?』


そんなにこのページに夢中だった?と
聞かれているようでさらに屈辱的な気分になる。


『夏織も、こんなの着なよ。』


長い指が指すのは、
ベビーピンクのふりふりな下着。
< 35 / 224 >

この作品をシェア

pagetop