私の彼は、“キス恐怖症”。《SS更新中


ーーーーーーAM7:50


翌朝、目を冷ますと自分で入った記憶のない布団の中に入っていた。

7時50分を指す針が、今日が休日であることを教えてくれる。


「……隼。」


相変わらず綺麗な寝顔を見ていると、
昨日のことを思い出して心が鉛の様に重くなった。


(触れたい。)


心が不安定になると、誰かに触れたくなるのはなんでなんだろう。

私は、恐る恐る隼の腰に腕を回して
その胸板に顔をうずめた。


『夏織、どうしたの。』


いつもと違う雰囲気を感じ取ったらしい隼は、不安げな声を出す。


「……したい。」


『ん?』


「抱いて、隼。」


『夏織、』


隼は、一呼吸間を置いて


『それ狡い。』


私の耳元でそう囁いた。





< 50 / 224 >

この作品をシェア

pagetop