私の彼は、“キス恐怖症”。《SS更新中
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『なんで、夏織が泣くの。』
困ったように眉毛を下げて私の涙を拭う隼。
「……だっ、て」
『ん?』
「…隼が苦しんでるのに、私キスなんか
して、最低よ。」
『その“先生”にキスされたからって
夏織は、夏織でしょ。』
「……え?」
『まぁ、正直言うとその先生のこと
殺っちゃいたいと思ってるけどね。』
……なんて物騒な。
『過去を忘れるのが難しいこと
俺も知ってるから。』
「…隼、ちょっと待ってて」
ベッドを抜け出して、昨日着ていた
上着のポケットの中を探る。
(…あった。)
“先生の連絡先”
メモを持ったまま寝室に戻った私は、
ベッドの上で座って待っていた隼に、
「隼、みてて。」
ビリッ、ビリビリッ
ーーそのメモを破り捨てた。
ひらひら、と床に落ちていく紙。
「私、キスしてくれなくてもっ
隼がいいの、隼だけしかいらない…っ」
私の言葉に、ふ。と口元を緩めた隼。