私の彼は、“キス恐怖症”。《SS更新中
「……き、がえてきます」
くるり、と隼に背を向けて歩き出そうとする、が。
『はい、確保。』
刑事ドラマの犯人よろしく捕まえられてしまった私。
もっとも、それは手錠ではなく外の空気で冷たく冷えた隼の手だったけれど。
『夏織、それは反則でしょ?』
ぐっと腕をひっぱられたかと思うと
次の瞬間には、私は隼の胸の中にいた。
「ちょ、っと待って」
『節操なくて、嫌われるかとか色々
思って我慢してたけど、』
“これは駄目”
その言葉を合図に、背中側から入ってきた冷たい手に身をよじる。
「……隼の顔みえないと怖いっ」
片手でがっちりと抱きしめられてるから
逃げようとしても逃げられない。
『うん。』
いや、うん。じゃないってば!