私の彼は、“キス恐怖症”。《SS更新中


「やっ……だ」


顔が見えないままで、早急に進んでいく行為に怖くなった私は、隼が着ているニットをきゅ、と握りしめる。


『夏織、こわい?』


「う、ん」


『ん。』


隼の手が、私の頭を撫でる感覚にほっと胸を撫で下ろす。


『顔見たらめちゃくちゃにしちゃいそうだったから、顔見れなかった。』


胸から離れた私は、そう言って困ったように眉毛を下げる隼を見上げた。


『どうしてこんな格好してたの?』


「……喜ぶかとおもっ、て」


『(夏織が思ってる“喜ぶ”の意味とは
違う、なんて言えないよなー)』


「なにその顔。」


『んー、なんでも無い。』


何で隼が嬉しそうに笑うのか
分からない私は小首を傾げる。
< 80 / 224 >

この作品をシェア

pagetop