鰯雲
鰯雲
フッと溜め息ひとつ
空を見上げた

毎日帰りを待つ家族
今の生活に不満はない


だが
ふと押し寄せる寂しさ


1年前
秋風が肌を掠め
長袖に着替えて出勤し始めた頃

あるサイトでメールを始めた女



心理テストの回答が俺と全く同じだった

興味を持ちメール

いきなりのメールにも関わらず
適度な絵文字を交えた返信


姑との同居
夫とも気まずい
包み隠す様子もなく語った

その日から
女のメールで1日が始まる
女のブログを見て1日が終る




サイトの日記で虚勢をはり
強い女を演じようとする女


いつしか
弱音をみせる相手は自分1人

そう思うようになっていた


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