鰯雲
電話
元旦の0時0分
繋がらなくて当たり前の電話

つながるなんて奇跡
3年もずっと
当たり前のように思っていた


「また、元旦の0時きっかりに電話で話そうね」


そんな約束ごとを
当たり前のように信じていた


初めて
つながらなかった電話
2人の距離


ただメールだけ
ただ年に1度の電話だけ


薄いつながり



丘を巻く坂道
2人眺めた夜景の美しさ

夢、幻だったのかもしれない



孤独の隙間に
入り込んだ幻


鰯雲の空を見上げた日から
夢を見ているのかもしれない


規則正しく
並ぶメールの文字と間隔

味気なく短いメール

時が経てば
あとかたなく消えていく


鰯雲に似ている

ふと、思った


雪混じりの雨の道

歩きながら
応答のない電話


握りしめた

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