鰯雲
夢一夜
駅前の灯りの向こう
汽笛がポーと響いた


元日の汽笛の音がよみがえる





初めて会うのに……
初めて会った気がしない


不思議だった




「駅裏に車を止めたんだ」



一夜限りの出会い

次に会うことは……
ないかもしれない


不安よりも
会えた嬉しさ
一夜限りの寂しさ

気が大きくなった




「あの日は、ここから電話を?」



車のエンジンをかけながら

尋ねる



「家の近くから」




粉雪の中
交わした電話

あと数日で1年

信じられない



駅裏の通り
高架下に沿って
車を走らせながら
メールではなく
直に聞こえる声に答える



街の中心を過ぎる
どこ行くあてもない


毎朝のメール
互いのブログの情報だけ

他愛ない会話


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