鰯雲
ライトアップされた二艘の船

九十九島観光船の灯り

くっきりと
闇の中に浮かび上がる



「近くまで行ってみようか」


目新しいものは何もない


ただ船の灯りだけ


昼間なら……
観光船で九十九島を遊覧しながら
島影をゆっくりと楽しめた筈だ



師走の夜風に吹かれる


潮の香り


「寒いね」


言いながら闇の中
浮かび上がる白い船
画面に収めて


再び車を走らせる




「長崎市内から島原を走り佐世保までの道のりを1日走ったんだ」



頼りない道案内
判り辛い道路案内



市内を一望できる展望台

目指す


丘を巻くように続く坂道


途切れながら
小さく見え隠れする街の灯り


坂道を上りきる
宝石箱をひっくり返したような夜景



「キレイだね」


眼下に広がる夜景
これほど
綺麗だと思えたことがなかった


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