鰯雲
1人眺めるのでなく
共に眺める

尚、綺麗だと思えるのかもしれない



どちらともなく
互いの手に触れた


温かい手
そっと握りしめる

このまま時が止まってしまえばいい


暖かい手
このまま
離したくない


時は止められない


時は……
いつも進むのを待たない



毎朝のメールも
電話の声も……


いつも限られた時

飲み込まれてしまう



この夜景も
この声も
この手の温もりも

みんな
一夜限りの夢


初めて交わしたメール


やっと1年


様々な話をした



なのに……



あの雪の夜

元旦の0時に繋がったメールも


みんなひとときの夢


繋いだ手の温もり

いつまでもホンモノだと思えるように


時を1秒でも長く
止められたらと思いながら


止まらない時の中
眼下に広がる夜景を
2人で見つめた

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