好き✕好き
「はいはい。もう、分かったから行くよ!」
と言う、捺実ちゃんに、連れられ来たくもない校庭に到着。
ハァ……これから、このだだっ広い校庭を走るんだよね……
「もう。そんな、落ち込むなって!ほらっ、最初は男子じゃん!
透李君、走るよ?応援しなきゃ」
「う…うん。そうだよ…ね。透李君、ガンバレーっ!!」
精一杯、大きな声でいったが周りに掻き消されてしまったかもしれない。
だけど……確かに透李君はこっちを向いて笑ってくれた気がする。
――パーンッ
その音で、男子が一斉に走りだした。