天才な彼を笑わす方法
7~笑顔の作り方~
☆瀬川side☆
鳳の後を追って、僕らは正門へ向かう。
正門には、前に鳳と書かれた旗をつけた長い車が停まっていた。
「和歌奈お嬢様!」
「道路交通法以内で飛ばしてくださる?」
「かしこまりました」
中へ入ると、僕は溜息を吐いた。
「休めば?」
宇佐美先輩が僕に話しかけてきた。
「どうせ勉強していたんでしょ」
「………」
「着いたらちゃんと起こすから」
「………」
「そろそろ、自分の人生生きれば?
稲村桜のための人生じゃなくてさ…」
「…宇佐美先輩」
「へぇ。
珍しく俺のこと先輩呼びか」
「僕のこと、どこまで知っているんですか?」
宇佐美先輩をスルーし、僕は聞く。
「噂だよ噂」
「その噂は誰から聞いているんですか?」
先輩はニッコリ微笑んだ。