天才な彼を笑わす方法
「あたしね、誘拐されたの」
「え?」
「知らない男たちに誘拐されて…。
抵抗したの…。
殴られたの…服切り裂かれたの…。
だから家の場所…わからないの……」
知らない場所に連れてかれたってことか。
「住所もわからない?」
「それはわかる」
「教えてくれる?」
桜は疑わず教えてくれた。
まぁ僕も、悪用するつもりはない。
「それなら僕の家の近所だ。
一緒に帰ろう、桜ちゃん」
「うん」
桜は笑うと、僕の横に並んだ。
そして桜は僕の手を握った。
「外は寒いのに、なーくんはあったかい。
なーくんの笑顔、太陽みたい」
「フフ。
だって笑顔は世界を救えるんだよ。
桜ちゃんも笑顔をなくさないようにね」
「うんっ」
桜に言ったことを、まさか僕が守らなくなるなんてな。