天才な彼を笑わす方法
自転車を左手で押し、右手は桜の手を握った。
冬で外は寒いけど、桜の手はあったかい。
僕は自然に笑顔になっていた。
「…なーくんっ!」
突然桜が叫んだ。
僕は桜の視線の後を追った。
暗く、街灯がない道。
そこに見える、2つの灯。
…こちらへ向かってくる。
車の、ライトだ。
「なーくん危ないっ!」
「ぅわっ…!」
桜が僕を突き飛ばした。
その後だ。
…鼓膜を壊すほど大きなブレーキ音がなったのは。
「桜ちゃん…?
桜ちゃん!?桜ちゃんっ!!」
目の前には、
血まみれの桜が横たわっていた。