天才な彼を笑わす方法
桜が病室を出て行くと、母さんが気まずそうに切り出した。
「桜ちゃんね、もしかしたら、歩けなくなるかもしれないのよ…」
「え?」
もしかして…
「僕を庇ったから…?」
「ええ…。
出来れば違うと言いきりたいけど、真実を言わなければいけない日がくるはずだわ」
「母さん…僕は……」
「もしかしたら、の話よ。
歩ける可能性もあるわ…」
僕はその時、母さんが言わないことが“まだある”と直感した。
「母さん、残らず教えて」
「…あなたには隠し事が通じないわね」
「桜ちゃん、他にも何かあるの?」
「これは確実だそうよ」
母さんは僕に現実を教えた。
桜の足に、
傷が残ることを――――…。