天才な彼を笑わす方法
「(セガワくんだね?
実は今日君に、良い話を持ってきたんだ)」
「(良い話ですか?)」
ペラペラと、流暢(りゅうちょう)な英語で僕は話す。
父さんが隣で驚いた顔をしていた。
「(アメリカの研究所に、君を研究者として迎え入れたい)」
「(僕を…?)」
「(ああ。
セガワくん、君の話はアメリカまで広がっている。
日本の全国中学生一斉テストで、この間満点を取ったんだろう?)」
「(ええ)」
「(満点を取れる子は少ない…。
つまり君は優秀だということだ。
…是非とも我が研究所に迎え入れたい。
アメリカには飛び級制度もある。
君ほどの能力なら、すぐに大学のカリキュラムも終えることが出来る。
学費や家、飛行機代のことなら心配しないで良い。
所長が君にかかる全てのお金を払ってくれると言ってくれているんだ。
それほど君は期待されているんだよ)」
「………」
父さんは驚き、固まっていた。
僕も、正直信じられない話だった。
「(…サクラ・イナムラ……)」
「!?」
アメリカ人らしい男の人が呟く。
「(サクラの父親・ミキオは、ワタシの知り合いでね。
君が何故そこまで勉強しているか、理由を話してくれたよ)」
あのオジサン…。
僕のこと、何でも話すんだな……。