天才な彼を笑わす方法
「(君も良い子だね。
自分の欲のために勉強するのではなく、“恩返し”だとはね)」
“恩返し”じゃない…。
僕がしているのは…“償い”なんだ……。
僕が桜を…
傷つけたから……。
「(アメリカは日本より技術が進んでいる。
研究所で君が研究をすれば、いずれサクラの傷を治すことが可能かもしれない…)」
桜の…?
「(来ないか?
そして、サクラの足を治さないか…?)」
僕は父さんを見た。
「父さん…?」
「…お前の人生だ。
後悔しない選択さえすれば、父さんは賛成だ。
母さんも七美も、それを応援する」
「………」
「(まぁ、今答えを出せとは言いません。
きっとココに友達も多いでしょうから。
コレを渡しておきます)」
置かれたのは名刺。
そこには男の人の名前と電話番号が書かれていた。
よく見ると、男の人は、研究所の副所長。
…副所長自ら、僕に会いに来たのか……。