天才な彼を笑わす方法
「さぁ、早く!!」
な、何で私は初日からこんなことしているのぉ~?
「ごめんなさい…」
「もっと!心から謝罪してください!!」
「も、申し訳ありませんでした!」
心の中で大号泣しながら、私は頭を下げる。
そんな私を、先輩と先輩から呼ばれる彼は、冷たい眼差しで見降ろしていた。
「…もう、気を付けてくださいねカナコさん?」
「…あ…はい……」
宇佐美先輩は先ほどの怒りとは正反対に、ニコニコ笑顔を浮かべていた。
…恐ろしい男だ。
「では俺はこの辺で。
また後で。先輩、カナコさん」
「………」
「あ、うん。バイバイ」
あ、タメ口使っちゃった。
でも宇佐美先輩は気にしていないみたいで、ニコニコ笑顔のまま去っていく。
…特進クラスの特別棟はこっちなのに。
そういえば。
私遅刻なんだ。
宇佐美先輩が行った先を見つめている謎の“先輩”を置き去りにし、私は特別棟へ向かった。