天才な彼を笑わす方法
「いや、ごめんね笑ってしまって。
ただ…つまらない人生だなぁと思って」
つまらない人生?
「君はそれで良いのかい?
その桜ちゃんのためだけに人生を使って」
「…先ほど言いましたよね?
僕は桜を傷つけたんですよ?
当然じゃないですか…」
「その桜ちゃんのお父さんは言ったんだろう?
桜ちゃんが傷のせいで仲間外れにされたら、君のせいだって」
「ええ…」
「何故君のせいになる?」
「え?」
「だって桜ちゃんが傷を気にせず明るく、前向きに生きて行けば、仲間外れにされることもない。
歩くのや日常生活には支障がない傷なんだろう?
君が桜ちゃんに守ってほしくて、桜ちゃんを傷つけたわけじゃないんだろう?
…それなのに君は桜ちゃんに“償う”ためにアメリカへ行くのかい?
この上ないつまらない人生だ」
“償う”。
誰にも気づかれなかった、僕の桜への思い。
「何故、“償い”だとわかったんですか?」
「ん?
君の話を聞く限り、“償い”にしか聞こえないよ。
何故そんなことを聞くんだ?」
「…誰も、僕が桜へ“償い”の気持ちを知っているとは気が付かなかったから……」
「他の人は“恩返し”とでも言うのかい?」
「ええ…」
「はぁ?
信じられないよ俺には。
“恩返し”と“償い”は全く別物なのに」
確かにそうだけど…。