天才な彼を笑わす方法
「俺は嫌だね。
君と同じ立場になったとしても。
桜ちゃんに感謝の気持ちは存在するし、自分を責めるかもしれない。
だけど俺は、桜ちゃんのために尽くす人生は選べないね。
俺の人生だ。
何故他の人に、決められないといけない?
何故自分の信じた道を歩んではいけない?
大人は言うよな?
信じる気持ちを持ちなさい、と。
それなのに大人は、夢を人生を、時に否定する。
可笑しいと思わないか?
信じる気持ちを持てと言うのなら、自分の人生を信じるのが当たり前だろう?
誰にも邪魔されない、自分で選んだ道を」
宮野教授…。
「…って、俺こんな偉そうなこと言っているけど、コレ言いだしたの、俺の娘だから」
「娘さん?」
「うん。
かなり可愛い娘なんだ。
…ただ、俺に似たのか、かなり子どもらしくない。
『何故皆はテストが嫌いなの?
テスト範囲も、重要な所も、先生は教えてくれるのに。
満点取れない人が不思議だわ』って。
それ、俺も子どもの時に思ったんだよなぁ。
それ聞いた時、娘も俺と同じ人生を歩むかと思うと、将来が心配でさぁ。
俺、運良く俺みたいな変人を好きになる人がいたけど。
やっぱりそんな変人、好きになる奴なんていないだろ?
可愛い娘だからさ、やっぱり幸せになってほしいんだけど。
今のままじゃ、絶対結婚できねぇよなぁ…。
将来も、土木沢高校特進クラスに入るとか言っていたし。
…あぁ、ますます変人になる………」
かなり落ち込み始めた宮野教授。
…凄い娘さんだな。
確かに…変人かも……。