天才な彼を笑わす方法






「瀬川くん。
笑顔は作るものじゃない。
自然と出来るものだよ?」



僕の心を読み取ったのか、宮野教授が笑う。

僕もつられて…つられて……。




「………」

「笑えないだろ?
君は笑い方を忘れてしまったんだ」




笑い方を…?




「もう1度笑う方法を教えてあげようか?」



答える間もなく、宮野教授は話し始める。




「アメリカの研究所なんて行かず、土木沢高校特進クラスに入りな」



土木沢高校特進クラス?

それって…。




「宮野教授の娘さんが行くところですよね?」

「うん。
瀬川くん、桜ちゃんのことを忘れて、娘に会って?」

「えっ!?」

「娘受け入れられるの、瀬川くんだけだと思うんだ。
瀬川くんも相当な変人だと思うし。

それに娘に会えばわかるかもよ?
笑顔を自然に出す方法がね……」





ふっと笑った宮野教授は、楽屋を出て行った。








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