天才な彼を笑わす方法
「(もしもし?)」
「(お久しぶりです。
セガワです)」
「(セガワ?
どうしたんだ?
まだアメリカ行きの日ではないぞ)」
「(実はですね。
僕、アメリカ行きをお断りしようと思います)」
「(…ほぉ)」
副所長さんは、それほど驚いていなかった。
「(後悔しないと言ったんですけど、やっぱり僕は日本で勉強をしたいと思うんです。
コロコロ意見を変えてしまってすみません)」
「………」
「(それでは。
所長さんにもお伝えください)」
「(やっぱりな)」
「(え?)」
「(実はこうなるだろうと予測していたんだ。
だって君は、自分の意思で行こうと決めたわけじゃない。
サクラのために行くと言っていた)」
「………」
「(ようやく自分の意思で、行くことを断りに来たな。
ワタシはコレを待っていたんだ…)」
「(そうなんですか…)」
「(所長にはワタシから言っておく。
セガワくんは、日本で頑張りなさい)」
「(はいっ)」
「(もし自分の意思で来たいと思うのなら、喜んで迎え入れよう。
その時は気軽に電話してくれ)」
「(はい…ありがとうございます)」
ピッ…と通話を切る。
「お兄ちゃん!
制服出来たって!
パパとママが、一緒に見に行こうって言っているよォ!」
「本当?
じゃ、一緒に行こうか」
七美に手を引かれ、僕は外に出た。