天才な彼を笑わす方法
宇佐美先輩は、彼女を僕の知り合いと勘違いし、勝手に自己紹介を始めた。
てか宇佐美先輩、ここの特進クラスだったんだ。
特進クラスだとは知っていたけど、まさか土木沢だとはな…。
宇佐美先輩がココの高校なら、鳳や宇佐美弟もいるだろうな。
「私は宮野叶子です。
この間転入してきた1年生」
宇佐美先輩の自己紹介が役に立った。
やっぱりこの人…宮野教授の娘さんだ。
変人だと宮野教授は言っていたけど、どこからどう見ても普通の子だけど…。
…少し興味あるかも。
僕の想像通り、宮野教授の娘さんや鳳、宇佐美は同じクラス。
まぁ宮野教授の娘さんには興味あると言ったけど、あんまり関わりはもたないだろうし。
鳳と宇佐美はただ知り合いというだけ。
特に仲良いわけじゃないし…。
宇佐美先輩は適当に相手しておけば、向こうが勝手に話すし。
そう信じて、疑わなかった。
しかし、人生そうはいかない。
遠足とやらの行事で、宮野・鳳・宇佐美と同じ班になった。
その上遠足で宮野は迷子になり、思わず敬語を忘れて怒鳴っちゃうし。
何でだろ?
高校は行ってから僕、何だか崩されていないか?
桜への“償い”のために勉強ばかりしていたあの頃とは、全く違う。
感情を忘れていた僕に。
…光が差し込んだと思った瞬間だった。