天才な彼を笑わす方法







☆カナコside☆




桜ちゃんから聞いた、瀬川の過去。




桜ちゃんを守るために、瀬川は勉強を始め、いつしか天才と呼ばれるまでに成長したんだ…。

誰とも関わらず、ただひたすら…償いのためだけに……。

だからきっと…笑顔をなくしたんだ。





カツン…カツン…カツン……





「ねぇ桜ちゃん、何の音かな?」

「知りませんわ」



まぁそんなアッサリと…。




「ところで、カナコちゃんはなーくんが好きなんですの?」

「えっ!?」

「なーくん…言ったみたいですの。
カナコちゃんだけは…傷つけるなって…」

「私だけは?」

「ええ…。
でも、そんなの許せませんわ。
だって、あたしの方が、前からなーくんのこと、好きだったんだから。
それなのに…なーくんは…あたしのことは見ていない。
なーくんが見ているのは…あたしの傷だけだわ……!」




可愛い顔を歪め、泣き出す桜ちゃん。




桜ちゃんは、純粋に瀬川を愛していたんだ。

でも、それは叶わない…。

だって瀬川は、桜ちゃんの傷しか見ていないから…。




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