天才な彼を笑わす方法
☆☆☆
「カナコさん!」
「カナコちゃん!先輩!」
「瀬川!稲村!」
和歌奈さん、宇佐美兄弟が、倉庫の外で叫ぶ。
和歌奈さんなんて、涙を浮かべている。
でも今は、再会を喜んでいる暇はない。
「…ッ瀬川様!?
どうされたんですの?」
「凄い熱なの!
和歌奈さん、病院行ける!?」
「ええ!
乗ってください!!」
宇佐美先輩が開けてくれた車の扉へ、滑りこむように入る。
和歌奈さんの家の車らしい車は、宇佐美家の車と同じぐらい広く、座席の上に瀬川を寝かせることが出来た。
「カナコさん!使ってください!!」
「ありがとう宇佐美くん!」
どこから持ってきたのか不明の氷嚢(ひょうのう)を、瀬川のおでこの上に乗せた。
「コレどこから?」
「鳳財閥の執事さんが、折り畳み式の氷嚢を持っていたから、借りたんだ」
折り畳み式の氷嚢?
聞いたことないけど、今は氷嚢に感謝かな。