天才な彼を笑わす方法
9~心の音~
☆☆☆
数日後。
私は成宮(なるみや)総合病院を訪れた。
近所で1位2位を争うほど大きな病院。
ここに瀬川は入院している。
まぁただの風邪なんだけど。
瀬川が世間でも注目されている天才少年だから、大事を取って入院しているんだって。
瀬川の病室へ向かっていると。
向こうから小さな女の子が走って来た。
うわ…可愛い!
綺麗に巻かれている黒髪。
整った顔立ち。
…誰かさんに似ているのは気のせい?
「ほら七美。
病院内を走らないのね」
向こうから来た女の人も、負けず劣らずの美人だ。
七美、と呼ばれた女の子に似ている。
お母さんかな?
「あれ?」
七美ちゃんが、私の目の前で立ち止まる。
そして、マジマジ私を見つめる。
七美ちゃんのお母さんらしき人も、「あら」と足を止め、同じく私を見つめる。
…誰ですか?