天才な彼を笑わす方法
「ほら帰るよ。
七美がうるさいと、他の患者さんにご迷惑よ」
「…むぅ」
七美ちゃんは最後の最後まで「お兄ちゃんはあげないっ」と言っていた。
お兄ちゃん思いの可愛い妹さんだなぁ。
何であんなに可愛い妹さんがいるのに、瀬川は無愛想なんだろ?
無愛想?
…手、私に差し出したよね?
あれが…愛想悪いって言えるの?
そう考えると…
どっちが本当の瀬川!?
疑問を抱いたまま、私は瀬川の病室の前に来る。
小さく3回ノックし、ガラッと扉を開ける。
「…宮野」
「……!?」
中には、瀬川と…
「お、お父さん…」
何と言うタイミング。
お父さんも「しまった」みたいな顔をしている。
そんなに私に会いたくないかい?
私は、再び扉の持ち手を掴み、閉めようとする。