天才な彼を笑わす方法







「カナコは」



お父さんが沈黙を破る。




「何故…勉強をする?」



はい?

私が勉強する理由は……。




「………」



言えないよ…。

お父さんに笑顔になってもらいたいからなんて。




「宮野」

「瀬川?」



本に目線を向けたまま、瀬川が呟く。



「ちゃんと本心を言わなくてはいけませんよ。
僕は宮野が何を思い勉強しているかは知りませんけど。
後悔しないよう、言った方が自分のためだと思います」

「………」



確かに…瀬川の言う通りだよね。

言わなくちゃ…伝わらない。



「…あのね」

「うん」



お父さんは聞いてくれている。






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