天才な彼を笑わす方法







「…確かにそうだな。
瀬川くんの言う通りだ。
俺とカナコは、すれ違いすぎている。
カナコが勘違いするのも、俺のせいだな」



どういうこと?




「カナコ」

「何?」

「俺はカナコが好きだぞ」

「え?」

「誰が可愛いカナコを嫌うもんか」

「え?…えっ!?」




まさかの一言だった。




「ただ、カナコは女の子だろ?
あんまり可愛い言い過ぎると、カナコに嫌われるかもしれないからな。
言わなかったんだ、悪かったな」



「アハハ」と楽しそうに笑うお父さん。

…待て待て。

状況読めていないんだけど?




「だから、俺がカナコを嫌っているということはあり得ないんだ。
逆にカナコのことを母さんに言いすぎて、母さんに叱られたこともある。
毎日毎日カナコカナコうるさいわよってな」



お父さんの、新しい一面を見た気がした。



「だがな。
俺は周りにも、自分でも自覚しているほどの変人だ。
俺が毎日カナコカナコくっついていると、カナコも俺と同じような変人になると思ったんだ。

それだけは避けたくて、カナコに干渉はしなかったし、カナコに勉強を強要させることもなかった。
俺が変人になったきっかけは、勉強から学んだ、好奇心が原因だからな。

だがしかし!
カナコは自ら勉強に励むことになってしまった。
普通の親だったら喜ぶかもしれないが、俺はソレを阻止したかったんだ!

阻止したくて、無邪気な笑みで話しかけてくるカナコを、心を鬼にして無視してきたが、まさかカナコが勘違いするとはな。

…悪かったな、カナコ」








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