天才な彼を笑わす方法
…本当だ。
私たち、すれ違ってばかりだ。
多分こんな感じで、話す機会を与えられなかったら、お父さんとずっとすれ違ったままだったよ…。
「そうだったんだ…」
「悪かったなカナコ」
「ううん。
私こそ勘違いしていてごめんね。
ちなみに私は、お父さんのこと好きだよ」
お父さんはその場に固まった。
口をあんぐり開け、何とも情けない顔をしている。
「お父さん?」
「…瀬川くん」
「何ですか?」
何で瀬川?
「このような機会を俺にくれてありがとう。
まさかカナコにそ、そんなこと言えるなんて思わなかった。
…ありがとうカナコ!瀬川くん!!」
「よっしゃー!」と言いながら、お父さんは病室を出て行った。
無口。
物静か。
無表情。
喜怒哀楽を表さない。
…それが、お父さんの印象だった。