天才な彼を笑わす方法
「ところで、オレ行くわな」
「どこへ行くんですの?」
「別に良いだろどこだって」
彼はテクテク進んでいく。
あたしは何故か、彼を追いかける。
「…何でついてくるんだよ」
「良いでしょ。
あたしの勝手だと思うわ」
暫くついていき、着いたのは地下倉庫。
食材なども置かれているので、夏の今でも肌寒い。
「寒いですわ…」
「薄そうなドレス着ているからだろうな」
「寒くないんですの?」
「見てわかるだろ?
オレはスーツだ。
寒くねぇよこれぐらい」
「にしても広いなぁ」と彼は地下倉庫の奥へ進んでいく。
「待ってくださいですわ。
あんまり奥へ行かないよう、言われているんですの」
「なら来なけりゃ良い話だろ」
「でも、あなたは宇佐美の人間でしょう?
あたしの方が倉庫については詳しいですわ。
もしあなたが迷子になっても、あたしが助けますわ」
「ご心配なく、お嬢サマ。
オレ方向音痴じゃないから、ちゃんと帰れるわ」
地下倉庫の奥へ奥へ進んだ彼でしたが、言っていたように、ちゃんと入り口まで戻ることが出来ました。