天才な彼を笑わす方法








「お兄様と、仲悪いんですの?」

「…まあな。
お兄様が一方的に、オレを嫌っているだけ」

「何でですの?」

「………。
お母様殺したから」




え?




「どういう、意味ですか…?」

「そのままの意味。
オレ、お母様殺したの。
それなのにお父様は、オレを責めない。
その上、オレが宇佐美に残って、財閥を継げ言われてる」

「え?
じゃあ先ほどの婚約者の話はどうなるんですの?」

「オレじゃなくて、お兄様がなることになるかな」

「……」

「お兄様、内気だけど、優しい。
オレがお兄様を変えたから。
オレなんかより、お兄様の方が、泣き虫お嬢サマには合うと思うけど?」



その笑顔が、

本当に…泣きそうに見えた。

無理して…笑っているように見えた。




「何があったんですの?
コウちゃんがお母様を殺したなんて、嘘ですわ」

「…嘘じゃない」

「どうして…」

「…オレらのお母様、体弱くて。
オレを生んだら死ぬって言われていたんだ。
でもお母様は、周囲の反対を押し切って生んで、その後亡くなった。
…オレがお母様を殺したんだ」








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