天才な彼を笑わす方法
あたしは正座をし、膝の上にコウちゃんの頭を乗せ、ジャケットをお腹にかける。
「コウちゃん…コウちゃん……」
「…何で泣いているんだよ…お嬢サマ……」
「泣いてなんて…いないもん……」
「泣いてんじゃん…」
熱い人差し指で、あたしの涙を拭うコウちゃん。
その笑顔は、先ほどとは違い、あったかい……。
「…てか着ておけよ…お嬢サマ…まで死ぬよ…?」
「大丈夫あたしは。
あたしはまだ…熱くない……」
…アレ?可笑しいな……。
視界が…グルグル…回ってきた。
「お嬢サマ!?オイ…お嬢サマ…」
「コウちゃん…」
「馬鹿っ…風邪引いてんじゃん……」
「みたいだね…」
アハハ、馬鹿みたい。
2人して倒れるんだから。
「お嬢サマ…アンタ…面白いな…」
「コウちゃんも…」
「オレ…少しだけお嬢サマのこと…好きになったかも」
「あたしも…コウちゃんのこと…好きかも」
そして。
あたしたちはお互い、目をつぶった。
手を、
握り合いながら……。