天才な彼を笑わす方法
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「おはようですわ和歌奈さん。
風邪はもう治ったんですの?」
「ええ。
ご心配をおかけいたしましたわ」
1週間後。
風邪の治ったあたしは、再び学校へ通う。
あの日、気を失ったあたしたち。
あたしが目覚めた先は、自分の部屋だった。
彼―――コウちゃんも、帰ったそうだ。
あの日から、あたしはコウちゃんに会っていない。
でも…いつか会えると、あたしは信じたい。
コウちゃんが…初恋だから。
あたしの通う学校は、令嬢や御曹司が多く通う学園の初等部。
本当は高校までエスカレーター式で行けるんですけど、あたしは中等部まで通うことになっている。
高校は、お父様たちの通っていた、土木沢高校特進クラスに行くつもり。
「鳳。
ちょっと良いか?」
「何ですか?」
「土木沢高校特進クラス希望だったよな?」
「ええ」
「この学年にも、同じ進学先の奴がいるんだよ。
会ってみないか?」
「わかりましたわ」
先生につれられ、あたしは進路指導室へ向かう。