天才な彼を笑わす方法
「カナコさん。
変な手紙送っちゃってごめんなさい。
来ないかと思ったんです。
これからも兄をよろしくお願いします。
兄はカナコさんが大好きですので。
家でもナナに散々、カナコさんのことを言いますから。
可愛いだ変だ素直だ、毎日うるさいほど。
どんな人なのか見たかったんです。
それでは。
末永く、お幸せに」
七美ちゃんは礼儀正しく頭を下げると、スキップをしながら帰っていく。
「…七音、アンタ、私のこと色々言っているの?」
「……気のせいだと思いますよ」
「フフ、ありがとね七音」
その瞬間。
―――私は七音の腕の中にいた。
「七音…」
「本当は嫉妬していたんだろ?
俺がさっき、七美に抱きしめられても、離さなかったの」
本当、
七音には何もかもお見通しだな。
「七音。
私これからも、七音が好きだから」
「俺も好きだよ…カナコ」
そして私たちは、
小さなキスを交わしました。
【END】