天才な彼を笑わす方法
「瀬川様とあたしの親同士が仲良いのですわ」
「……余計なこと、言わないでください」
うわっ!
瀬川が話した!
音量は変わらないけど、結構長文じゃない!?
てか瀬川、敬語使っている…。
敬語キャラなのかな?
小説とかでしか出てこないかと思っていたよ。
現実にいるんだ…。
瀬川に止められたにも関わらず、和歌奈さんは話すのを止めない。
「瀬川様と初めて出会ったのは、中3の頃ですわ。
あたしたちの鳳財閥と、コウちゃんの宇佐美財閥の合同パーティーに、コウちゃんのお父様の知り合いである、瀬川様のお父様が呼ばれされたんですの。
それで、あたしたちもお知り合いになったんですわ」
なるほどぉ。
…ところで和歌奈さん。
和歌奈さんが話す度、瀬川の顔がドンドン嫌そうな顔しているんだけど?
そんな私の心の中の叫び?を気にせず、和歌奈さんはドンドン話す。
「その時には瀬川様はもう天才少年でしたからね。
その上カナコさんもご存知でしょうが、無口でニコリともしません。
コウちゃんと2人だけで話しましたわね、あの時は」
「確かに瀬川は話さないね。
兄が一方的に話しているみたいだし」
「一光お兄様が可哀想に見えましたわ」
「お兄様はアレで良いんだよ。
諦めが悪いのが、お兄様の良い所だしさ」
…良い所なのかな?
粘り強いって、長所に…なる、としておこう。