天才な彼を笑わす方法
「一光お兄様が変なだけですわ。
瀬川様に夢中なのは、一光お兄様だけですわ」
「瀬川は誰も持っていない“何か”を持っているって、熱く語っていたっけ」
「“何か”って何ですの?」
「それは俺にもわからないね」
宇佐美先輩、本当に謎多き人だなぁ。
「そういえば、どこか散策しましょうよ」
「それ良いな。
どこ行こうか?」
「海にはいりましょうよ」
まるで2人だけで海に来たみたいに、和歌奈さんと宇佐美くんははしゃぐ。
まぁ2人は恋人だからね。
私はカナヅチだから、海に入るのはやめようっと。
そう思い、砂浜に無造作に座る。
「瀬川は入らないの?」
「………ええ」
「そうなんだ。
何するつもり?」
「……読書、でもしましょうかね」
「え?
遠足に着てまで読書?
さすが天才少年だねぇ~」
「………」
何だか少しは話してくれるようになったなぁ。
会話、までは成り立たないかもしれないけど。
受け応えは大きな進歩だよ。