天才な彼を笑わす方法
「…ところで宮野さん。
先ほどから僕に対して、失礼なこと言いすぎじゃないですか?」
「アハ、ごめんね」
「笑って誤魔化さないでください」
大げさなほど大きな溜息を吐く瀬川。
思わず笑っていると。
「あ――――――ッ!!」
ブラジルまで聞こえそうなほどの大きな声が海辺に響いた。
浜辺を歩いていた鳥たちが、驚いて羽ばたいて行く。
「瀬川様が話してますわよ、コウちゃん!」
「め、珍しい…」
どうやら大声の主は、和歌奈さんだったみたい。
和歌奈さん、名前も見た目もおしとやかなお嬢様なのに、声は大きいらしい。
「…鳳、うるさいです」
「ごめんですわ。
でも瀬川様が一光お兄様以外に話しているのを、初めて見たものですから」
「…鳳にも宇佐美にも話していますよ」
「それはあたしたちが幼馴染だからでしょ?
初対面のカナコさんに話しかけるなんて。
天変地異の前触れじゃありませんの!?」
やっぱり天変地異の前触れって思うよね?
てか和歌奈さんたちは幼馴染なんだ。
中3で出会ったって和歌奈さん言っていたけど。
…中3で出会うので、幼馴染になるのかしら?
和歌奈さんにはツッコミどころが多いなぁ。