天才な彼を笑わす方法
「瀬川くんよ。
12歳の若さで、アメリカの研究所から来ないかって誘われた、若き天才少年よ」
へぇ~…若き天才少年ねぇ。
…知らないわ。
ニュースとか見ないもの。
私は再びテレビへ視線を向けた。
整った黒髪。
銀縁眼鏡をかけていて、いかにも秀才って感じ。
整った顔立ち。
長い前髪を、もう少し短くした方が個人的には良いと思う。
「確か最近、どこかの高校の特進クラスに入学したって聞いたわね。
確かカナコと同い年のはずよ」
確かに。
テレビに映る瀬川くんの横に書かれた年齢は、16歳と表示されている。
私と同い年かぁ~…。
「ところで準備は出来たの?」
「うんっ。行ってくる」
「気をつけて。
もう時間がないんだから」
「はーい」
先ほどの焦りはどこへ行った?と自分でも思うほどのんびりと、私は家を出た。
「遅刻―!!」
そして急いで土木沢高校へと走り出した。