天才な彼を笑わす方法
「コウちゃん?
瀬川様がどうかなさったの?」
「アイツ、出て行った。
多分、カナコさんを探しに行った」
「え!?」
瀬川様が!?
驚くのはあたしだけでなく、先生方もクラスメイトも驚いていた。
瀬川様は先ほどから何度も言っておりますけど、天才少年。
どんな財閥の会長でさえも道を開けるほど、頭が高い。
そんな方が行方不明などなったら、きっと土木沢高校は廃校になりますわ。
「瀬川様…」
「和歌奈、大丈夫だ。
アイツの番号もメアドも知っている。
何かあったら、セキュリティ会社に応援を頼んで、瀬川の行方を探してもらおう」
「ええ…」
瀬川様は誰もが認める天才少年。
…きっと、カナコさんを探し出すはずですわ。
瀬川様、頼みますわ。
カナコさんを、必ず見つけ出してくださいね。
…空はドンドン雲行きが怪しくなり。
とうとう、
雨が降りだした。